「……女の子が好きそうな飲み物だから?」

「違うよ。美桜が好きだって言ってたから」

「え」

私は杏里先輩の返答に再び目を見開いてしまう。

だって有り得ない。
私達が会話したのは今日が初めてなのに。

「左の眉毛の上の傷はブランコから落ちた時についた」

「え」

先程亜季ちゃんに小さい頃ついた傷だと説明した。
詳しい話は家族以外知らない。
誰にも話したことがないから。

私は驚きすぎて『え』しか言えない。

的中しすぎている杏里先輩の発言に、私は彼へと逸らしていた瞳を向けた。

杏里先輩は私に笑顔を向けていた。

その笑顔に変な寒気がした。

この人、もしかして……

「ストーカーじゃないからね」

今考えていた事が杏里先輩から釘を刺すように飛び出てきた。

そうよね……地味子の私をストーカーする変人、いるわけ無いわよね。