触れないで、杏里先輩!

「美桜は怖い思いをしたし、犯人は罰せられろって思うけど、襲われたのは美桜が魅力的すぎる女の子だからだと思うんだ」

「……私は可愛くなんてないですから」

否定して返すと杏里先輩の眉に皺が寄った。

「もしかしてまだ鏡見てないの?」

「……」

「まぁそれは置いといて。そんな地味子を演じてるのは勿体無い。痴漢のせいで、背中を丸めて下を向いて泣き寝入りの人生を送って、今を楽しまないなんて勿体無い」

「……」

「少しずつ進もうよ?」

「……放っておいて下さい」

私は下を向いて拒絶した。


だって、怖いの……環境を変えることが。

だからこのままで良い……。

泣き寝入りでも、良いの……。