触れないで、杏里先輩!

「勘づいた人もいるだろうから話すね。美桜は男性恐怖症で男子が触れたら気絶するみたい。ふざけて美桜に触れたら、俺が許さないから」

私に背中を向けている杏里先輩が説明すると、女子からの悲鳴が飛び交った。

男子の事しか考えていなかったので、恐ろしい女子の嫉妬のことを考えてもいなかった。
言って良かったのかと、一気に不安に駆られた。

「じゃあ俺はやる事やったし、もうチャイム鳴るから、お昼に迎えに来るよ。一緒に食べよう」

「……は!?」

そして私へと身体を戻すと、私の予定なんてお構いなしで勝手に決めた杏里先輩。
私は口をあんぐり開けるしか出来ない。

「じゃあね~」

「ちょ、ちょっと!」

引き止めたが杏里先輩は笑顔で行ってしまった。

さっきも来たし、本当に来るよね?

二人きりなんて絶対無理だから!