触れないで、杏里先輩!

「こんな美少女なら襲われるわ……あぁ!犯人が憎い!美少女なのに勿体無いよ!」

だから褒めるのは止めて亜季ちゃん。
今気付いたんだけど、かなりの視線を感じるから。
羞恥プレイすぎるから。

「亜季ちゃん、早く切って!」

恥ずかしくて話を逸らしたくて私は叫ぶ。

「ごめんごめん、じゃあ揃えるね。ゴミ箱抱えててくれる?」

「お願いします」

私はゴミ箱を受け取ると抱き締めて、髪が目に入らないように目を瞑る。


「あれ?左の眉毛の少し上、傷痕あるの?」

チョキチョキとハサミの音が聞こえる中、亜季ちゃんが訊いてきた。

そんな所も見えちゃう程、髪切っちゃったの!?

「覚えてないけどちっちゃい頃に怪我したの」

杏里先輩、本当に許すまじ……。