触れないで、杏里先輩!


ハッとして目を開けたら、見覚えしかない白い天井が見えた。

それは先程見たばかりの保健室の天井だ。
私はガバッ!と慌てて起き上がる。


「また倒れちゃうなんてね」


聞きたくない声が聞こえて、私はゆっくりと恐る恐る顔をそちらへと向ける。
予想通り、ベッドに居る私の横には笑顔の杏里先輩が座っていた。
私は顔を青ざめさせながらも辺りを慌てて見渡した。


「誰も居ないよ。俺と美桜だけ」

私の挙動から察したようで、杏里先輩が教えてくれたが、その言葉に身体が震え始めた。

だって、ベッドを隠すようにカーテンが完全に閉まっている。

更には誰も居ないんでしょ?

この人と密室に二人きりだなんて……

身体は拒否反応しか起こさない。