触れないで、杏里先輩!

「話してても埒があかないな」

脈絡もなく、形の良い眉を少し寄せて杏里先輩が言った。

「え?どういう事ですか?」

私が頭上にハテナマークを浮かべながら訊ねた時だった。


『ガシッ』


突然また腕に圧迫感。

目を向けると私の腕には大きな手が巻き付いていた。

瞬時に、また先程と同じ感覚が襲う。

息が上手く吸えない。

目の前が白くボヤける……