触れないで、杏里先輩!

サァー……と私から血の気が引く。

寒気を感じて、私は先輩から逃げるように勢いよく横に椅子ごと身を引いた。
椅子がガタガタガタっ!と大きな音を立てたが、それどころではない私は全く気にならなかった。

「何故に座るんですか!?」

「美桜とちゃんと話したいし」

ニコニコ笑っている杏里先輩も気になるが、再び感じる視線と囁き声も気になる。

そりゃ周りもざわつくよね。
杏里先輩が何考えているのか、全く分かんないもん。
視界の端ではこちらを目を全開にして、メイクバッチリ、睫毛フサフサ、惜しみ無く生足をだしているスカートが極限に短い私とは別世界の住人の女子が映った。

ほら、みてよ。
もっとクラスには可愛い子がいるよ。

「そんなお綺麗なお顔をお持ちなのに、勿体無いですよ!?ホラ、あの子とかどうですか!?」

私は先程見ていた可愛い同級生を指差しながら叫んだ。

「よく意味が分からないけど、俺は褒められたのかな?でも俺は美桜が良いな」

だがあっさり受け流された。