触れないで、杏里先輩!

お腹空いたし、腹立つし、本当に今日は厄日だ。
授業中、何度もグーグーお腹が鳴りそうだったから。
その度、数少ない腹筋に力を入れてなんとか耐えぬいた。
一階の自販機でお気に入りの莓ミルクのジュースでも買って来て、昼まで持ち堪えよう。
授業が終わったら速攻ダッシュだ。

なんて思っていたのに、授業がチャイムが鳴ってもすぐ終わらなかった。
先生がキリの良いところまで説明するなんて言い出して。
漸く礼をした後、走ろうとしたらお金を持ってないことに気付いて、机に戻って慌てて鞄を漁る。


「はい、食べて」


財布を掴み、立ち上がろうとしたら、突然目の前にコンビニの袋が現れた。
袋を掴んでいる手を恐る恐る追っていくとそこにはやっぱり笑顔の杏里先輩。

「な、何しに来たんですか!?」

私、この人にまずこの言葉しか言っていない。

「また倒れたら大変だから」

私は貴方が目の前に現れることの方が大事なんですけど!?