触れないで、杏里先輩!

だって亜季ちゃんは杏里先輩が好きだ。

そんな杏里先輩から私は交際を申し込まれた。

女子の友情って恋愛絡みで簡単に終わる。

昨日読み耽ってしまった少女漫画でも言っていた。

亜季ちゃん……私の事、嫌いになった……?


「地味子の星!!!」


亜季ちゃんが突然私の右手を両手でガシッと握り、鼻息を荒くして至近距離で叫んだ。
その声はかなり先まで届いたと思う。
手を握られ、耳がキーンとなりながらも、予想外の反応にポカンとなる私。

「罰ゲームでも良いじゃん!こんなチャンスは一生巡ってこないかもよ!?千載一遇のチャンスだよ!?」

罰ゲームでも良いじゃんって、良くないでしょ……。
振り回されるの、私じゃん……。

「私の事、嫌いになってないの……?恵《めぐみ》みたいに……」

恵とは昨日の漫画に出てくるライバルの友達だった女子だ。
恋愛を機に恵は、大人しい私が殴って更正させたくなるほどの腹立たしいヒール役になるのだ。