「おはよ、美桜!今日の髪型可愛いね!」
朝一番私を見た瞬間、亜季ちゃんが髪型を褒めた。
「本当だ、可愛くなってる」
朝練を終えた北川君も。
「杏里先輩がやってくれたの」と伝えると二人もやっぱり驚いた。
「美桜ちゃん、今日の髪型可愛いね」
放課後、杏里先輩と別れた後の駅のホームで花純先輩が言った。
今日三回目の話題だ。
「これ可愛いですよね。杏里先輩がやってくれたんです」
花純先輩は目を瞠ると大きな声を上げた。
この反応も三回目だ。
「杏里君にこんな特技あったの!?」
「歳の離れた妹さんの髪を結んでいたら上手になったみたいです」
そう言うと花純先輩は目を見開いた。
数秒後、微笑みに変えると言った。
「やっぱり杏里君には美桜ちゃんは特別だよ」
花純先輩はきっと私に気を遣った。
申し訳ない気持ちが込み上げた。
だって私は花純先輩の恋を応援すると言ったから。



