数日後の朝の教室。
今日も私は杏里先輩と髪を結んでもらいながら治療中だ。

杏里先輩が見えないから常に緊張状態で鼓動はフル稼働。
でもこの状態に慣れないと、男性に触れられる度に倒れてしまう体質を改善出来ない。


「今日は張り切った」

必死に耐えているとそう言って向けられた鏡に映る私の髪はサイドが編み込みになっていて後ろでアップに纏められていた。

「凄い!編み込み!可愛い!私出来ないから尊敬します!」

あまりの出来栄えの良さに瞠目し、何度も首を右左に振って髪型を見ながら返した。

「じゃあ毎日この髪型にする?」

「はい!」

杏里先輩の提案に嬉しくて、彼へと振り返って返事をすると、彼は目尻を優しく下げた。

「今日の美桜、素直で可愛いね」

直球の言葉と笑顔の杏里先輩に顔からポンっ!と音が出た。

「そんな言葉を簡単に出さないで下さい!」

「だって思ったから」

ニコッと追い討ちのように微笑まれたら私はいつものように困り、沈黙を作る。