「絆創膏は美桜が貼った方が良いね」

今度は退いてくれて安堵した。
手の平を出して絆創膏をそこに落としてもらった。

「美桜が痛い思いするなら、助けてあげた方が良かったかも」

絆創膏を貼っていると杏里先輩が言った。
転けた光景を思い出すと羞恥心が蘇り、顔を上げられない。

「お、お恥ずかしいところをお見せしました……」

「今度は助けても良い?」

その言葉に膝から杏里先輩へと顔を上げた。
杏里先輩は歯痒そうな表情を浮かべていた。

でもなんて答えて良いのか分からない。

転ける前に助けられても、そのせいで気絶したら申し訳ないし。

答えられず黙っていると杏里先輩が言った。

「早く治してあげたい」

その言葉に私はやっぱり何も返せなかった。