「水筒あります、大丈夫です」

杏里先輩の優しさに感動しながら学校に向かっていた。

二人は今日も私を挟みながら会話をしている。
今日も暑いなとか、平凡な会話に私も相槌を入れたりしていた。
そんな坂の途中、

「きゃっ!」

ドジな私は躓いた。

「美桜!?」
「坂井さん!」

運動神経が良いのか反射神経が良いのか、両サイドの二人が私の異変にすぐに気付いて手を私へと構えたが、二人ともすぐに引っ込めた。

そのせいもあり、私は見事に地面に転けた。

「きゃふ!」

日傘を掴んだまま。
せめて離して受け身を取れば良かった。

「「大丈夫!?」」

その声に慌てて顔を上げると、二人共心配そうに私を私を見下ろしている。

は、恥ずかしい!

羞恥心から私はすくっと勢いよく立ち上がる。
誤魔化すようにスカートを手で払うと杏里先輩が言った。

「膝から血が出てる」

私は日傘を持っていた右腕を見事に擦りむいた。