「可愛くポニーテールしてきてるから申し訳なくなるんだけど、これから毎朝治療のために俺が美桜の髪を結ばせてもらうよ」

静かな教室に入った瞬間、杏里先輩が突然言った。


「む、無理です!」

私は立ち止まって音が出そうなくらい首を横にブンブン何度も振った。

「これも治療の一環。はい、おいで」

杏里先輩は私の椅子の前で、拒否権を与えない笑顔で手招き。
手にはいつの間にかヘアゴムと櫛を構えている。

どうせ杏里先輩は退いてくれない。
無駄な労力を使うくらいならと、すぐに私は降参した。
だっていつも杏里先輩には勝てないから。

観念してヘアゴムを解くと自分の席に腰を下ろした。

杏里先輩は隣の席の椅子を引っ張り私の後ろに座った。

すぐに私の髪が櫛で梳かれる。

男の人に髪を結んでもらうなんて初めてだ……あ、