触れないで、杏里先輩!

花純先輩は優しくて話しやすい。
花純先輩が降りる駅まで漫画の話で盛り上がった。




次の日の朝。
早朝ということで閑散とした電車内。
この車両には私達しかいない。

二人きりの空間だが、私は恐怖心は感じていない。
それくらい北川君を信頼している。


「明日からテスト週間だね」

北川君が今日も鞄の向こうから話し掛けてくれる。

「あ、それなら明日から朝練はお休みですか?」

「いや、朝練はあるんだ」

「そうなんですね、大変です」

北川君とはまだ目を見ては話せないけれど仲良くはやっている。

「坂井さん、ちょっと雰囲気変わったよね」

突然北川君が言った。

「え?どんな風に?」

膝の上の鞄から北川君に顔を向けた。