触れないで、杏里先輩!

「だから杏里君、美桜ちゃんは私が守るから安心してね」

花純先輩はひょこっと顔を出して、私の向こう側の杏里先輩に向けて言った。
どうやら私の事情を知っているらしい。

「お願いするよ」

杏里先輩は微笑んで返した。




「私が居ない方が良いかも」

杏里先輩と別れたあとの駅のホームで花純先輩が困った表情を作りながら言った。

「なんでですか?私は花純先輩が居てくれてホッとします。それに帰りも安心します」

私の言葉に花純先輩は優しく微笑んだ。

「美桜ちゃんのこと知りたいからお話しようか」




電車に乗ると私が一番端、その隣に花純先輩が座った。
女子だから怖くないし、心強い。
それに、

「花純先輩も読んでいるんですか!?」

「恵が腹立っちゃうよね。でもあのキャラが居るから読んじゃうよね」

私の愛読書を花純先輩も読んでいた。