「ごめん、美桜。俺のせいで髪を引っ張られたって聞いた」
放課後、昇降口で待っていると、焦った顔で飛び込んできた杏里先輩は私を見るなり謝罪した。
「杏里先輩が気にすることじゃないです!花純さんが助けてくれて、助かりましたし!」
気にさせまいと出した言葉に、杏里先輩がバツが悪そうに瞳を逸らした。
何でそんな顔するの?
胸にはモヤ〜と霧がかかったような違和感。
ここ最近、杏里先輩と居ると妙な気持ちになる。
何故か分からないが、気まずい。
「美桜ちゃんは悪くないからね」
モヤモヤしているそこに入り込んできたのは、聞き覚えのあるおっとりした声。
振り向くとやっぱり花純先輩。



