触れないで、杏里先輩!

「私達付き合ってないです!」

私はすぐに否定した。

「そうなの?」

「はいっ!」

「でもどっちにしろライバルには変わりない」

え?ライバルって?

「ライバルというのは?」

「杏里君を好きなライバル」

聞き慣れない単語のせいで、一瞬フリーズした。

「……いやいやいや!それはないです絶対に!」

やっと脳が意味を認識すると全力で否定した。

「どうして?」

「私は杏里先輩のことは尊敬していますが、こんな地味子の私が杏里先輩を好きなんておこがましいですし!」

「美桜ちゃん、可愛いよ?」

杏里先輩といい、高校二年になると可愛いと簡単に言えるようになるのだろうか。

「私、杏里君と二月まで付き合ってたの」

言葉を出せずにいたら、ゆったりとした口調で、まさかの言葉が飛んできた。