触れないで、杏里先輩!

「あ、待って。髪がぐちゃぐちゃになってる」

突然手首を掴まれて引き留められた。

「お詫びに直してあげる」

「え?」

「先輩の言うことは素直にはいって言って」


同性でもキュンとしてしまいそうな可愛らしい顔に微笑まれたら断れなかった。

私は彼女に言われるがまま背中を彼女に向けると、彼女は私の髪を結んでいるゴムを外した。


「貴女が美桜ちゃんか」

手櫛で私の髪を梳きながら彼女がゆったりとした口調で溢した。

「え?何で私の名前を知って?」

私は驚きながら前を見たまま問い返す。

「あ、まず自己紹介してからだね。失礼しました、私は森下花純《もりしたかすみ》、二年です」

彼女はマイペースに自己紹介をした。
どうやらゆったりと話すのが彼女の癖らしい。

「貴女は杏里君と付き合ってるって有名だから」

なんて考えていると、続いて出てきた言葉に更に目を見開いた。