私はピッタリと椅子の背凭れに持たれている。
だって私の机に杏里先輩は頬杖をついているから、背凭れにくっついていないとかなり近い。
だから私は今、無駄に姿勢が良くなっている。

「聞きたいこと、無い?」

見透かしたような青い瞳とその言葉に、ドクンと鼓動が大きく波打った。

さっきまでは聞きたいと思っていた。

でも、もう聞きたくない。

何故かは分からないけれど、聞きたくない。


「え……と、あの……「あ、もう逸らした。早すぎ」

杏里先輩の言葉で気付いた。

動揺で目が泳いでいたようだ。

でもそのお陰で今の会話流せそう。

「じっと見られたら恥ずかしくなっちゃいました!」

笑って誤魔化した。
流してくれと願いを込めて。


「逸らしたのは、違う意味があるんじゃない?」

それなのに杏里先輩は流してくれない。

それどころか真っ直ぐ私を見つめてくる。

鼓動がドクンと波打つ。