触れないで、杏里先輩!

「杏里先輩と再会した日の私を思い出して下さいよ。写真に興味あるように見えますか?」

それにマジマジと返すと、

「申し訳ないけど見えないな」

苦笑いの杏里先輩の即答に、私は「でしょ」と自虐的に相槌を入れる。

「まぁ、美桜にとっては治療の一環になりそうだし、やってみようか。まず椅子並べよ」

そう言いながら座っていた椅子と隣の席の椅子をくっつけると、

「さ、隣座って」

私に先に座るように促した。

全身には一気に緊張が走る。

そのせいで心臓は変に速度を上げて、胸にあてた手には大きな振動が伝わり、呼吸は不規則になり始める。

……自分からお願いしたことだが……やっぱり無理かもしれないっ!


「北川君の横は座れるのに、俺は無理なわけ?」

座れないでいると、杏里先輩の口から唐突に北川君の名前が出てきた。