触れないで、杏里先輩！

それから毎日、朝の始業前と昼放課、杏里先輩はやって来た。

でも私はやっぱり怖くて、髪に触れられるだけでも、目を開けることすら出来ない状態で、一ミリも進歩出来ずに二週間経った。




「おはよ。今日は美桜は課外学習だね」

杏里先輩は今日も清々しい顔で私の教室に入ってきた。

「おはようございます……あの、杏里先輩……」

私は立ち上がって挨拶を返すと、話を切り出そうと言葉を出す。

「どうしたの？思い詰めた顔して」

そんな私の顔を見て杏里先輩が言う。

色んな感情が心を回っている。
悔しさや、苦しさ。
でもその中で、杏里先輩には申し訳ない気持ちが一番大きい。
だから言う。

私は視線は斜め下に逃げてはいるが、拳を握って心を決める。