触れないで、杏里先輩!

あ!杏里先輩の優しさに感動する前に返さなきゃ!

「杏里先輩、昨日はありがとうございました!」

杏里先輩に会ったら渡そうと思っていた鞄の中に入れておいた小さな封筒を、彼に差し出した。

「何これ?」

杏里先輩はそれを不思議そうに見ながら呟く。

「昨日のパンとジュースのお金です。助かりました」

「そんなの、良かったのに。分かった、貰っとくよ」

差し出した封筒を受け取ると杏里先輩は、

「よし、今から荒療治しよっか」

脈絡もなく言った。


「え?お昼だけじゃ……?」

お昼だけの試練だと思っていた私は、突然の言葉にたじろぐ。