触れないで、杏里先輩！

「おはよ」

グラウンドには、朝から爽やかな笑顔の杏里先輩が私に向かって手を振っていた。


「待ってて、すぐ行く」

すぐにそう言うと校内へと入っていく杏里先輩。

私は教室前の時計を見る。
まだ時刻は七時四十五分。
ホームルームの鐘が鳴るのは八時四十五分。
こんな時間に学校に来ている生徒は、部活の朝練をする人くらいだ。
それに昨日杏里先輩と出会った時間は八時半位だった。


「こんな早くに来てたんだね」

そんな事を考えていると、すぐに教室に入ってきた杏里先輩。
朝から爽やかな笑顔だ。

「おはようございます！」

私は窓の横で立ったままだった。
挨拶を返すと杏里先輩は鞄を私の前の席の机に置いて、そのままそこに腰を下ろした。

もしかして、私に合わせて早く来てくれたのかな？
暇してる私の相手をするため？