ペルシャ砂糖さん……確かにはかなげなお嬢様だし。
まぁ家事面で若干頼りないけど…でも彼女もお父様を愛している。
お父様のために苦手な料理を一生懸命勉強して、お父様の支えになろうとしている。
「なぁんだ。
答えなんて最初から分かってたじゃないですか」
私がお父様から手をすり抜き両足を投げ出すと、ミケネコお父様は目をきょとん。
「店長はペルシャ砂糖さんが好きで好きで
だーい好きで、
ただそんな大好きな彼女を幸せにする自信がほんのちょっと無くなっただけ。
昔の結婚生活があるから?
過去を思い出して気弱になったから?
恋愛って、小さなことで尻込みするし、こと想いが強ければ強いほど臆病になるものです」
私だって何度倭人を前に悩んだことがあったか。
聞きたいことも聞けず、小さなすれ違いを生みやがて別々の道を辿る結果になったのは全て
『嫌われたくない』と思っている臆病な自分のせいだ。
「店長は……少しだけ迷子になっただけです」
私も迷子になっていた。
見えない迷路をさまよって、ただすれ違った人に助けを求めるよう、
お互い錯覚しながら一瞬だけ手を取り合った。
でも本当に手を繋ぎたいのは―――
黒猫……倭人―――
町で偶然会った時、いつかのお化け屋敷で、ショッピングモールで…
彼はいつだって私を力強く引っ張っていってくれた。
安心した。ドキドキもした。
私はまだその気持ちを忘れたくはない。
「あなたの帰るべき場所は
カズミさんのところです」



