Chat Noir -黒猫と私- バイオハザー度Max- Deux(2nd)



お父様はポケットから長財布を取り出し、慌てて万札を運転手さんに手渡し、あわただしくお釣りを受け取ると


タクシーから飛び出てきた。





どうして―――



「はは…何でだろう…


何でかこのまま“さよなら”もないかなーとか思って」





お父様は恥ずかしそうに笑って頭の後ろに手をやる。


“どうして”なんて心の中でも呟くのはバカげてる。




だって私―――


お父様がこうやって降りてくること、少しだけ期待してた。


お父様のこと好きとかじゃない。冷静に考えればペルシャ砂糖さんだって居るのに。


ペルシャ砂糖さんからお父様を奪うつもりはないし、“そう”なったら今度こそ黒猫に顔向けできないよ。


そう分かっているけど


ただ、





寂しかったのだ。








誰でも良かったわけじゃない。



大好きな人と血が繋がった人に―――錯覚だと思っても


傍に居て欲しかった。