Chat Noir -黒猫と私- バイオハザー度Max- Deux(2nd)



タクシーに私のアパートの住所を告げ、タクシーは走り出した。


変な感じ。



前はタクシーに乗っても、一人か……相乗りしているのは同じバーの女の子だったから。


店長と二人きりでタクシーに乗るのははじめてで、何故か少しだけ



緊張した。




タクシーに乗る前まで


「タクるか!♪」なんて妙にハイテンションだったのに。


てかその歳で「タクる(タクシー拾う)」って…やっぱチャラいし。


タクシーに乗ったら急にだんまりなお父様。


背もたれに深く背を預けて、ぼんやりと窓の外を眺めているお父様の横顔を見つめて


その顔がやっぱりどこか黒猫と似ていた。


当たり前か。


親子だもんね。


いつかの―――黒猫とタクシーに乗った夜を思い出す。


あの日は、お父様と初対面のペルシャ砂糖さんと食事会だった。黒猫との交際を認めてもらうためのご挨拶だったけれど、まさかのペルシャ砂糖さんとの結婚報告を聞かされて


あのときの食事のほとんど味を覚えていない。


でも今日は―――しっかりお酒の味を覚えている。


最後に飲んだのはラムベースのXYZ。そのあとに続くスペルはないから、『これ以上にないカクテル』と言う意味だけど…


ミケネコお父様とこれ以上にないほど、距離を詰めて


このタクシーは一体どこまで走るのだろう。



そんなことをふと思う。



バカみたいだ、うちに決まってるのに。




「こないださー、富山行ったんだよね」




ミケネコお父様がぽつりと言い出し、私は顔を上げた。


自分のバカみたいな考えを読まれたのかと思ってちょっと恥ずかしくなり、顔を上げたあと慌てて視線をそらす。