「あー……それは残念だね。
でもそれだったらなおさらだよ……こんなところで自棄酒してたら、たちの悪い酔っ払いにお持ち帰りされちゃうよ?
話なら今度ゆっくり聞くから、帰ったら?」
友達は心底心配そうに言って、次からはカクテルじゃなくミネラルウォーターが入ったグラスを進めてくれる。
自棄酒―――か…
そうかも…
黒猫のことを考えたくなくて、一人であの狭いアパートに居ると考えちゃいそうで帰りたくなくて…
素面で居ると涙が出そうになるから、それをアルコールで流しているだけかも。
「僕が酔っ払いを追い払ってあげるよ。朝都ちゃん帰らないで」
とミケネコお父様は私の勧めで何杯目かのグラスを空にしていた。
コン!
やや強い音を立ててカウンターにグラスを叩きつけるその姿は、
ここに来たときよりも疲れているようだった。



