それから三日。


私は研究に没頭する毎日を送っていた。


余計なことは考えたくなくて、ひたすらマウス相手に過ごしている。


白髪防止の研究はやめた。


カーネル教授は


「面白そうな研究でしたのに」と少し残念そう。


最初の方は乗り気じゃなかったのに。


まぁカーネル教授も見事な白髪だから気にしてるのかな…とかちょっと思ったけど


「ヴィクトリア(教授の愛猫のペルシャ猫)とお揃いだから♪」


と、飼い猫とラブラブ。


あ、そーですかぁ。


私は飼い猫を手放したばかりだと言うのに、仲がよろしくて結構なことですねー。



私の猫ちゃんは―――


元気だろうか。


飼い主がいなくなって、また野良やってるのかな。


それとも新しい飼い主を見つけたかな。


可愛くて優しくて若い……



カリンちゃんの姿を思い浮かべて私は頭を振った。



余計なこと考えたくないのに、考えるのはいつも黒猫のこと。


こんなんじゃいつまで経っても立ち直れないよ。


それとも時間が解決してくれるのかな。



開け放った窓から風が吹いてきて、私の髪をふわりとなびかせた。


香ってきたのは





ライラックの香り。





私と黒猫の記憶も



想い出として……またいつかゆっくり向き合える日まで封印されるのだろうか。