「朝都先輩自分で言ってたじゃないすか。


彼氏の髪の毛をサンプルでもらったから、研究するって。


おかげでマウスの毛の色がうっすら灰色に変ってきましたよ。


朝都先輩が変な薬注射するから」


事情を知らない後輩くんはぺらぺら喋っていて、


「あー……うん!そうだね、市川くん(初公開:後輩くんの名前です)今はその話は」


と溝口さんが慌てて後輩くんの会話をさえぎり、心配そうに振り返る。


溝口さん……


涼子から聞いてるのか。まぁ当然っちゃ当然だよね。


「大丈夫、大丈夫」


私はへらへら溝口さんに笑いかけ、何も知らない後輩くんだけが「?」マークを浮かべている。


それでも妙な沈黙をおかしいと思ったのか後輩くんはそれ以上聞かず、


ラベルを貼っていない小さなペットボトルを私によこしてきた。


「何か分かんないんですが、これ飲んで元気出してください」


そう手渡されたのはさっきの惚れ薬と言うのが入っていて。


「何なの、これって新手のイジメ?」


私はペットボトルを受け取りながらも後輩くんを睨みつけてやった。


そんな感じでいつもの研究時間が過ぎて行き、


いつの間にか辺りはとっぷりと暮れていた。


「朝都ー、帰る~?」と心配で様子を見に来てくれた涼子の申し出を


「ごめん、行くとこある」と断り、


向かった先は




ミケネコお父様のバー。