Chat Noir -黒猫と私- バイオハザー度Max- Deux(2nd)



「……やっぱ…夢…だった…」


きゅっと布団の端を握って俯くと


「夢…?何の夢見てたの?」


涼子はテーブルに乗せたお鍋の中をかき回ぜて、その中身を器に盛った。


その中身は


味噌汁―――…?


「しじみ汁作ったんだ、あんた好きでしょ?(お酒)飲んだあとに良く飲んでたじゃん?」


しじみ―――


「あ…うん」


私は曖昧に頷いて、涼子から手渡されたお椀を受け取った。


「食べれる?ちょっとでも食べないと良くならないよ?


しじみは栄養もあるし」


私の心情を知ってか知らずか涼子はマイペースに言って自分の分もよそっている。


まさか…


だってあれは夢だよ。


黒猫がここにくるわけないもん。


それでも少しの希望に縋りたくなる。


「あの…さっきここに―――」


「さっき…?」


涼子はきょとん。


「…こ、ここに居たのは涼子だけ?」


探るように聞くと


「やだぁ、私だけに決まってるじゃない。何、朝都…怖いこと言わないでよ。私幽霊とかダメなの」


涼子はぞっとしたように顔を青くさせて両腕を抱きしめる。


やっぱり





あれは夢だったんだ。


寝てる間にしじみ汁の匂いを嗅いで、夢と現実が混在してるだけだよ。


あとは希望とか……



はぁ



黒猫と別れても、風邪を引いても



バイオハザードウィルスが弱まることはなさそうだ。