何だ―――……
また私、夢を見てるのか…
夢にまで黒猫を見るとか。
しかも人間の♂じゃなくやっぱりネコだし。
『にゃ~…』
黒ネコ倭人は甘い鳴き声を上げて私の頬にすりすり擦り寄ってくる。
「ごめんね……ごはんはもうちょっと待って…?」
「飢え死にしたら朝都のせーだからな」
いつもの生意気な少年……倭人の声が聞こえたけど、
これは夢だし、黒いネコが喋ってようが何でもアリね。
「嘘。
朝都のせーじゃないよ。
また俺に味噌汁作ってよ。今度はちっさい貝がいっぱい入ったやつ」
「ちっさい貝ってしじみのこと?しじみは二日酔いに効くのよ」
「何でもいーよ、朝都が作ってくれたら」
黒いネコは切なげに言って私の横にコロンと体を伏せる。
ふわふわの体毛があったかくて心地良い。
「ねぇ朝都」
ネコに言われて「んー?」と私は目を閉じたまま聞いた。
「果凛のこと心配してくれるのはありがたいんだけど、
ホントにそう?
本当は俺のこと嫌いになったとか……じゃないの?」



