黒猫の声は驚くほど低く、冷たく聞こえた。
理由を求められている、と分かったけど私の口から何かを説明する前に
『ちょっと待って。何でだよ…』
黒猫にもう一度聞かれて私は俯いた。
今度の声はさっきより上ずっていて、テンポ遅れできた驚きを滲ませていた。
それでも黙っていると、
『何でだよ』
今度ははっきりと低く怒りの感情が伝わってきて、私は唇を噛んだ。
「あ、あんたが……」
声が震える。
涙を必死にこらえて喉の奥で何度も何度も飲み込む。
『俺が何だよ』
不機嫌をはっきりと苛立ちに変えて黒猫がかぶせるように聞いてきた。
「あんたがカリンちゃんについててあげなきゃ、誰が彼女を支えてあげられるのよ」
『は?果凛?何であいつが出てくんだよ』
「カリンちゃん、あの子は不安なんだよ。
私はあんたが居なくても平気だけど、カリンちゃんにはあんたたちが必要なの」
『何だよ、それ。
本気で言ってンの?』
またも低く聞かれて、私は今度こそ目を伏せた拍子に大粒の涙がぽつり、と落ちた。
「本気―――……だよ」
『じゃぁ朝都は、果凛のために俺と別れるって言うのかよ。
ふざけんな』



