「え―――……うん」
「今日はお勉強の日ですか?」
またも聞かれて、私はぎこちなく首を横に振った。
「ううん、今日はちょっと…私用で」
倭人を好きなカリンちゃんの前ではっきりと「会いにきた」とは言えない私。
ロシアン葵ちゃんと違って、きっと本気で泣いちゃうかもしれないし。
傷つけたくなくて、でもそれと同時に…ロシアン葵ちゃんのときのようなあからさまな挑発を受けて傷つきたくないのも事実。
私は……とことん臆病者だ。
「最近、倭人ちゃんすごく楽しそうなんです…
文化祭に女の人連れてきたのもはじめてだし」
私は顔をあげてカリンちゃんの寂しそうな悲しそうな……一言では言い表せない切ない横顔を見て思わず俯いた。
傷つけたくない―――…って思ったのに、それだけはどうしても無理そうだ。
「あたし…倭人ちゃんが女の人と手を繋いでるのはじめて見て、
あんなに優しそうに笑いかける倭人ちゃんはじめて見て―――
倭人ちゃんがあたしの知らない倭人ちゃんになっちゃう、って思っちゃったんです」
「そんな……カリンちゃんは倭人の幼馴染だし、逆に言うと私の知らない倭人の部分を知ってることだってあるし…」
何とか言葉を探して当たり障りのない返事を返すと
「幼馴染なんて言わないでください!」
カリンちゃんが突如声を荒げた。



