―――次の日、


カリンちゃんも無事退院できたし、私は珍しくケーキなんて買って黒猫のおうちを訪れようとしていた。


今日はお勉強の日じゃないけど、なんとなく罪悪感で…


カリンちゃんが大変なときに「黒猫がうちに来てくれない」と拗ねていた自分を恥じて。


前にカリンちゃんのママが買ってたきたのと似たようなケーキをお土産にしてみた。


どーせトラネコくんも食べるだろうし、多めに買ったケーキは大きな箱に入れられて私はそれを両手に抱えて黒猫のマンションの前に。


行くって言ってなかったからびっくりするかも。


おうちにいるとは思うけど、一応連絡しておくか。


と思ってもたもたとケータイを取り出していると、


出入り口のエントランスから、覚えのある女子高生が出てきて私は思わずその手を止めた。


長い髪を揺らして、短いスカートのすそが計算された美しさで翻る。








ロシアン葵ちゃん―――……




何で―――






びっくりして目をまばたいていると、ロシアン葵ちゃんが私に気づいたのか


その足取りを止めて


「あ」


小さく声を発した。