ふわり…
白衣の裾を風でなびかせて、気まづそうに立っていたのは
浩一だった。
「よ、よぉ…!」
私は慌てて手を挙げた。
あの雨の日以来…浩一と二人きりで話すのはこれがはじめて。
そいや白衣返してないし……一瞬、その催促かと思ったけれど
「紅葉、ピークだな」
浩一はぶっきらぼうに言って私の隣に腰掛けてきた。
浩一の愛用している香水と、セブンスターの香りが一層近づいて
何故だか胸が鳴る。
あの雨の日を思い出す。
『雨があがったら、理由なくここに居られないから―――
朝都と一緒に居られないから。
雨があがるまででいい。
あのネコじゃなくて、俺だけのこと
考えて?』
雨はあがった。
今日はすっきりとした秋晴れだ。
「涼子から聞いた…」
浩一が切り出し、ドキリと心臓がねじられる。
黒猫と別れたことをもう知ったのか、と思うと…浩一がどんな行動に出るか何となく想像できたから。
だけど浩一の言葉は私の想像したものとはちょっと違った。
「風邪ひいてたんだって?大丈夫かよ」



