黒猫と別れて一週間過ぎ、二週間過ぎ…


ほんのり色づいていた銀杏の木は鮮やかな黄金色を纏い、見事な紅葉を見せていた。


毎日研究に明け暮れながら、一向に結果がでないマウスを相手に


研究室の窓から眺める景色だけは…


二週間の間で変わり、木々は青々した緑色から黄色や茶色、赤色に色を変えていて


確実に時が流れていることを実感させられた。


たったの二週間なのに、“もう”二週間だ。


私は研究に没頭し、時々涼子が研究室で栽培した枝豆やらイチゴを持ってきてくれて


後輩くんは相変わらず妖しい研究を続けているし、溝口さんも変わりない。


黒猫が居ない日常は、淡々と過ぎ


だけどその間、何度も黒猫から電話があった。


その度に心臓がよじれるかと思うぐらい心が締め付けられた。


私はその電話を無視して音が消えてなくなるのをやり過ごし、


それでもしつこいぐらい掛かってきたのにここ三日ほどは諦めたのか静かになった。


最後の着信に、留守番メッセージが録音されていて




『朝都、ちゃんと話そうよ。


俺諦められない。




俺は朝都のことが好きだよ』