目線も合わせずそれだけ言ってのけたので、どういう反応をしたらいいのか困ってしまった。


「は、はじめまして……っ。よろしくお願いします」


自分からも挨拶をしてみたはいいものの、反応はナシ。


うぅ、なんてクールな人なんだろう……。眞白くんと双子なのに、全然性格が違うんだなぁ。


二卵性なのか、顔もそんなに似てないし、言われないと兄弟だってわからないかも。


でも、楓くんもものすごくキレイな顔をしてるし、話しかけるのがドキドキするくらいにカッコいいよ。


もしかして彼は、私のボディガードをするなんて、嫌だったのかな……。


そうだよね。いきなりうちのパパに頼まれて、連れてこられたわけだもんね。


なんだか申し訳ない気持ちになっていたら、すかさず九条さんがフォローしてくれて。


「乙葉ちゃん、ごめんね。楓はちょっとふてぶてしいところがあってね。でも、こう見えてスポーツ万能で、空手や柔道もめちゃくちゃ強いんだよ。だからきっと、乙葉ちゃんのボディガードとしてお役に立てると思うよ」


「そ、そうなんですねっ。ありがとうございます!」


「そうそう、楓くんはとにかく武道に長けていて、過去に大人の窃盗犯(せっとうはん)を捕まえたこともあるらしいぞ。彼くらい強い男の子がそばにいてくれたら、乙葉も安心だな」