そのやり取りを聞いた瞬間、サーッと目の前が真っ暗になっていく。


あれ? もしかして楓くん、由良ちゃんと何か約束があるのかな?


だって今、一緒に出掛けるみたいな話をしてたよね。


さっきまではあんなに意気込んでいたはずが、一気にまたモヤモヤした気持ちでいっぱいになる。


声をかけるタイミングを失ったことはもちろん、由良ちゃんと楓くんがこれから二人で仲良く出かけるのかと思うとショックで。


どうしよう。今日こそは謝るんだって決めてたのに、これじゃ話しかけることもできそうにないよ。


キャハハと楽しそうに笑いながら、楓くんと一緒に教室を出ていく由良ちゃんの姿を見て、胸がチクッと痛む。


やっぱり楓くん、今日も放課後は由良ちゃんと一緒に過ごすんだ。


でも、最近はずっとそうだったし、仕方ないよね。


『由良ちゃんを守ってあげて』なんて言っちゃったのは、自分だし……。


とりあえずいったん寮に帰って、また夜にでも声をかけてみようかな。