「えっ!」


「いいよ、出なくて」


「いいの?」


「うん。だって、邪魔されたくないし」


なにそれ。邪魔って、なんで?


すると楓くん、そっと私の耳元に顔を寄せてきたかと思うと。


「今は眞白のことは忘れて、俺のことだけ考えてろって言ってんの」


「……っ」


なぜかそんなふうに囁いてきたものだから、私は一瞬耳を疑った。


ど、どうしよう。楓くん、なんか変だよっ。


どうして急にそんなことを言うんだろう。


楓くんの真意がよくわからない。冗談なのか、本気なのかも。


だけど、そんな彼に対してバカみたいにドキドキしている自分がいることだけは、たしかだった。


*