今日はお店の定休日で、学校が終わって紗央達と別れて真っ直ぐ家に向かう。

毎日、バイトだから早く家に帰って横になりたかった。


バス停を降りたところで、肩をポンと叩かれた。



「あれ、芽生ちゃんだよね?」

「え……?」


振り向くと、いつもお店に来てくれるタレ目のお兄さんだった。



「お家、こっちなの?」


いつもと変わり無い笑顔で話しかけてくれるけど、ちょっとマズイかな。

萌花ちゃんも気を付けてって言ってたし。



「あー、いえ……友達の家に行く予定で」

「そうなんだ。俺も知り合いの家がこっちでさ」


奇遇だね、なんて言葉を続けていく。

どうしよう、家とは逆方向に向かった方がいいかな。そこまで考えなくていいかな?


お兄さんが動かない私を不思議そうに見下げる。






「あ、芽生ちゃーん。こっちだよ、皆待ってるよ!」