「お疲れ様でした!」


高校生の私と萌花ちゃんは21時30分でバイト終了となる。22時からはカフェからバーに変わって、メニューやサービスも少し変わるらしい。


萌花ちゃんからは、詳しくは知らない方がいいよって言われてるから、大人のサービスとかなのかもしれない。


萌花ちゃんと一緒に裏口からお店を出ると、空は真っ暗で冷たい空気が頬に突き刺さった。



「萌花ちゃん、今日はほんとにありがとね」

「うん?」

「ちょっと慣れたつもりだったけど、全然まだまだだなって」

「そんなことないよ!芽生ちゃん頑張っててるよ!」

「また色々教えてね……」

「うん!」


そう頷いて"寒いねぇ"なんて、両手を口元に当てて白い息を吐く萌花ちゃんの頬は赤く染まっていてまるでお人形さんのようだった。


本気に可愛いなぁ。

見た目だけじゃなくて、中身も性格も。それに、正義感もある。私も萌花ちゃんみたくなりたいな。



「ね、萌花ちゃん。連絡先教えて?」

「えっ、あ、うん。……実は萌花ね、LINEやってないからメアドでいいかな?」

「うん、いいよ」


彼女が鞄からスマホを取り出してIDの交換をする。

萌花ちゃんのスマホはシンプルで、ミミリンの模様が入った黒色のカバー。