Ephemeral Trap -冷徹総長と秘めやかな夜-



ぶわっと、風が勢いよく迫ってくる。


夜の街を走り続けるバイクと一体になって、体も揺さぶられる。

鳩尾がひやりとする。


……やっぱり怖い……っ。


お腹からせりあがってくる感覚をなんとか抑え込めたのは、半分くらいは、初めて見る景色に対する高揚だったから。


今、わたしの目に映っているのは、自分の力じゃ見ることのできない世界。

そして、……このひとにとっての、いつもの世界。


そう思うと、目をつむってしまうのはもったいなく感じられて。

恐怖と戦いながら、わたしは視界の中をものすごいスピードで流れていく街の灯りを、しっかりと目に焼き付けた。