もともと、本条くんと甲斐田くんが友達だなんて、全然イメージになかったから。


学校で話してるところとか、見たことないし……。

見た目から受ける印象だって真逆のタイプ。


ノーセットのサラサラな黒髪に、常にカチリと制服を着こなしている本条くん。

アクセサリーひとつ、身につけていない。


比べて甲斐田くんは、どちらかというと校則なんて知りません、という感じ。


明るいピンクベージュの髪とか、ゆるっと気崩された制服とか、耳元で目立っている複数のピアスとか。

いくらうちの校則が緩いほうだといっても、はじめのほうはやんわり注意している先生もいたくらい。

今はもう諦めちゃっているみたいだけど……。


そんな、まさしく不良だなんて言葉が似合う甲斐田くんと仲がいいだなんて。

……やっぱり、本条くんも……。


わたしの中で再び、本条くんに関する噂の信憑性が高まってしまったとき。

──ポケットがヴヴ、と震えた。



「それ、甲斐田の連絡先。登録しておいて」



わたしはハッとして、スマホを取り出す。

画面を確認すると、本条くんからのメッセージ欄に、可愛いマルチーズが舌を出しているアイコンが、映し出されていた。