っ、え……?


固まるわたしに、彼は柔らかな感触を与えて、……名残惜しそうに離れていく。


触れ合った時間は短かったのか、長かったのか。

実際にどれくらいだったのかなんてわからないけれど。

いったいなにが起きたのか理解が追いつかないくらいに、一瞬に感じられた。



「……今のは流石に、我慢きかねーわ」



ぽつりと聞こえた彼の声に、遅れて、唇が熱を持ちはじめる。

わたしは瞬きすることも忘れて、彼を見上げていた。


……い、ま……。

キス、された……?


そう認識した途端、はじめての感覚に戸惑いやら、恥ずかしさやらが一気に溢れて。

わけもわからず涙が滲んでくる。


呆然としていると、彼が気遣うようにわたしの前髪を撫でた。



「……んだよ、その反応」

「……だ、って。わたし、はじめて、で……」

「嘘つけよ」

「っ、嘘じゃない……」

「じゃーほら」



──もっかい。


囁くように言うなり、彼は再び唇を寄せてくる。

あっという間に距離を埋められて、わたしは慌てて目をつぶった。


強張りながらも受け入れると、今度は食むように触れられる。



「……ん、ぅ……」



次は、甘噛みされたり。

そのまた次は、啄むように触れられたり。


たっぷりと押しつけるようにされたり……。


まるでこちらを弄ぶようなキスが繰り返された。


最後は音を立てて焦れったく吸われ、……身体の力まで奪われてしまいそうになってしまった。