「コンビニにあんたが入ってくるのとちょうどすれ違ったとき、その後ろに続いてたあの男の視線が、あんたを追ってたから。なんとなく怪しーな、と思って」



ふたりで並んで歩きながら、わたしは彼が助けてくれることになるまでの経緯を尋ねていた。



「しばらく外から様子見てたら案の定、一緒に店から出てきたってわけ」

「……そうだったんですか……」



全然、気がつかなかった。

後をつけられていたことも、……この人と入口ですれ違っていたことも。


こんなにかっこよかったら、ばっちり印象に残りそうなのに。

わたしってば、視野、狭すぎ……。



なんて、本人の前では口には出せないことを考えて、彼を横目で盗み見た。



……本当、目の保養って感じだ。


一見冷たそうな、近寄り難い雰囲気が漂っているけれど、纏うその空気がより彼を魅力的に見せている気がする。


緩くパーマのかかった、鼻にかかるくらいの少し長めの髪。

そこから覗く耳たぶで光る、シルバーのピアス。

加えて、胸元のシンプルなプレートネックレスに、右手の人差し指と中指にリングがふたつ。


アクセサリーをたくさん身につけているのに、いやらしさなんてまったくなくて。

上品にさえ見える。

不思議……。


あまり関わったことのない──そして、これからも関わることがなさそうな、タイプのひと。



わたしは、こっそりと観察しているのがバレないように、カバンの紐を肩にかけ直すふりをして、



──あれ……。



ふと引っかかりをおぼえ、心の中で首を傾げた。