「……ホスト、とか?」



試しに、わたしもおどけて返してみた。


整った容姿だったり。

近づいただけでわかるいい香りだったり。

多めのスキンシップだったり。

甘い言葉を簡単に囁いたり。

……女の人の扱いに慣れていそうなところが、絶対にありえないというわけではなさそうだし。


捻り出したわたしの予想に、彼はまた愉快そうに笑った。



「そーなると、お前は“姫”ってとこか」



なにかを思いついたようにそう呟いて。

ブランコから立ち上がると、わたしの目の前までやってくる。


こちらを見下ろしながら、左手でブランコの鎖を掴んで。

なにかを企むような表情を浮かべていた。

不思議に思っていると、──ぐっ、と鎖を引き寄せられて、ブランコが揺れた。


軽く屈んだ彼が、わたしの耳元に近づいて、



「俺以外の男に興味持った許さねーからな、姫」

「っ」



低く囁かれて、ぞくりとした。

耐えきれずピクッと震えたわたしの反応を見て、彼はしてやったりというように離れていく。



「こんな感じ?」



イタズラが成功した子供のように無邪気な笑顔を浮かべて、首を傾げた。


……吐息を感じた耳が熱い。

わたしは熱を持ったそこを庇うように押さえて、



「……姫相手にはちょっと、物騒、じゃない?」



からかわれた悔しさから、動揺していないフリをした。