……そういえば。

このひと……学校は、どうしたんだろう。

同い歳くらいなら高校……歳上でも大学があるだろうし……。


お休みだったのかな?

それか、サボり……?


まさか社会人だったり……。


と、そこまで考えて、普通の会社員なら尚更、時間的にわたしの帰りを待つなんてことできないか、と思い直した。


お仕事してる人だとしたら、専門的なもの……かな。

例えば美容師とか。

モデル、とか?


色々と思考を巡らせた末、



「普段、なにしてるの?」



そんな聞き方になった。



「あー。人に言えねぇようなこと?」

「えっ」



あまり間を空けずに返ってきた予想外の回答に、固まる。

わたしがまんまと言葉に詰まると、はは、と隣で笑い声が上がった。



「ビビった?」

「……」

「逆になにしてるよーに見えんの」



どうやら冗談だったみたい。


……びっくりした……。


彼の話し方や表情は飄々(ひょうひょう)としていて、掴みにくい。

わたしは頭の中に浮かべたひと通りの“人に言えないようなこと”をかき消して。

彼をまじまじと、改めて観察する。