Ephemeral Trap -冷徹総長と秘めやかな夜-




「おいおい。あんまひどくすると、イブキに怒られるぞ」

「わかってるって。……手荒な真似したくないからさ。大人しくしろよ」

「大丈夫、大丈夫〜。ちょっとぼーっとしちゃうだけだから」

「っと。まだ飲み込むなよ」



全て溶けきったあとも、喉の動きを邪魔するように口内で指を動かされて……。

やっと解放されたとき、わたしは耐えきれずに咳き込んだ。

その隙にゴソゴソとポケットを漁られて。



「おーあった。さすが、女子力高ぇのね」



酸素を求めて開いていた口に、今度はわたしのハンカチを無理やりねじ込まれた。

んーっ! と、くぐもった声しか出せなくなる。


……こんなんじゃ、きっと誰にも気づいてもらえない。

ただでさえ人通りが少ないのに。

やだ……どうしよう。


ポロポロと涙がこぼれて、呼吸が乱れはじめた。

胸の奥がじくじくと熱くなって、痛い。



「あーあ。泣いちゃった」

「ごめんごめん。ほら、こっからは優しくしてあげるから」



両手を頭の上で纏められ、スカートのウエストからシャツを引き上げられる。

お腹のあたりに直接触れられた。



「んっ……んん!」

「すげ。肌スベスベ〜」



そのまま、すーっとなぞるように胸元へと上がっていく指先。

思わず足をバタつかせると、別の男に押さえられ、無理やり開かされる。


──やだやだやだっ。

助けて……っ。


警報のように、全身で鼓動が波打っていた。