『このまま、通話切るフリして。繋げたまま画面暗くできる? バレないよーに気をつけろよ』
聞こえる声色ががらりと変化した。
ふ、と涙腺が緩んでしまいそうになる。
……伝わった……っ。
わたしは「またね」と付け足して、ゆっくりとスマホを耳元から離した。
通話を切って、画面ロックをかける……素振りを見せる。
本当は、画面の明るさを調節しただけ。
こんなときのための、覗き見防止の液晶フィルムだったのかも、なんて、過去の自分の買い物に感謝した。
角度によっては、真っ黒な画面にしか見えない。
そのまま、わたしは自分の手で、来栖くんが持っているわたしの鞄のポケットにスマホを仕舞い込んだ。
「ありがとう。終わったらちゃんと返すからね」
「終わったら、って……。これから、なにが始まるんですか?」
できるだけ、甲斐田くんが状況を把握できるように、会話の流れで情報を引き出そうと試みる。
「そうだな。簡単に言うと、──革命、かな」
「かく、めい」
普段使う場面なんてほとんどないその単語を、オウムのように繰り返した。
意味はわかるけれど、具体的なイメージが浮かばない。
「俺たち“ナギリ”にとっての、ね」
──ナギリ。
那桐。
イブキくんも、森下くんも、そう呼んでいた。
だけどどこか、『なぎ高』と呼ぶわたしたちと、呼称している対象が違うような。
そんな小さなズレを感じるのは、気のせい……?


